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2006年4月16日 (日)

*セレンディピティ

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大学院が始まったので、最近は自分のテーマである「近世の色」
ついて考えることが多い。
すると、なぜだか必要と思われるモノやコトが向こうから近づいてくる。
これを言葉で表わすと「セレンディピティ」と言うのかな…

ただ「偶然の幸運」は、心の準備や心の開放がないと感じることはできない。
近頃は、以前の頑なな私と違って心の扉を開いているので、
たくさんの「偶然」と言うものが起こる。
ただ難しいのは、その偶然のなかで本当の幸運は何か、本当に欲しいものは何かを
見極めることではないかと思っている。

そんなことを考えていた矢先、セレンディピティがたくさん降ってきた。

「近世の色」を考える時、どうしても何かが足りないと思っていたら、
ある方から、重要無形文化財、すなわち人間国宝でいらっしゃる
小宮康助さんの名を教えて頂いた。
そして現在は2代目の小宮康孝氏が後継していらっしゃることもわかった。
そこまでであふれるような有り難さを感じていたが、
一刻も早く実際の作品を見たいと思っていた。

そうしたら何と!
横浜高島屋で「人間国宝展」なる催しが開催されているとの情報・・・
さらに、それは4月17日までの開催であること。

えっー、開催終了が迫っていると焦った私は、昨日何とか時間をやりくりして
横浜高島屋へ。
すると結構な人。人。人。もちろん中高年の方がほとんどで、
こんな私でも会場では「若い人」!
ひとりで展覧会に行くことが多い私は、連れ立って来ている上品な高年女性の
なにげない話に耳を傾けることが多い。

昨日も一人で会場内をいったり来たりしながら
ドキドキして小宮康助氏の「江戸小紋」を探す・・・

人間国宝は染織関係も多い。
もちろん友禅や箔などは豪華で優雅で目がくらむようなものもある。
そんななか、小宮さんの作品はひっそりと反物だけで存在していた。
一見地味そうに見える小宮さんの薄紫色の小紋・・・
しかし何故だか多くの人がその前で長い時間を過ごしていた。

私は何とか人がいなくなるのを待って正面からまっすぐに作品を見た。
すると、遠目からでは感じられない静かな力が、
「二つ割竹縞」からにじみ出ていた。
50年の時を経ても色褪せない技と美。心が身震いしたような気がした。
すると、近くでおばさま達の声。

「これは本当に素敵ねぇ~~。こんなの来てみたいわねぇ~~。」
「そうね、この紫は地味過ぎず、派手過ぎず、品があるわ。」
「角度を変えると白っぽく見えるわね、一生に一度でいいから着てみたいわ」
「帯を派手な色にするとまた違った良さが出るわね」・・・

等という会話と溜息が続き、その場を離れない奥様達。
私はしばらく赤の他人の奥さま2人と3人並んで、
黙って「薄紫」の竹縞を眺めていた。

日本には昔から「出ず入らず」という考え方があるけれど、
おばさま達がいう「派手過ぎず、地味過ぎず」、あるいは「品」というところに
日本の伝統や美のキーワードがあるような気がしている。

2代目の康孝さんの作品もやはり「薄紫」の反物で、きちんと伝統を継承されたうえに、
また違った趣きが感じられ素晴らしかった。

「近世の色」、もしかしたら「紫」がヒントかもしれないなどと思いながら、
しっかりとした何かを与えられて帰ってきた。

・横浜高島屋 4月17日まで(東京開催は終了)
 その後は秋までお待ちください!
・大阪ー8月30日~
・京都ー9月13日~

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コメント

自分に立ってるアンテナがミョウに感度がいいとか、水とか風みたいな感じに自分の周りを流れてるものを感じて「これに今のれっちゅうことやね。」と思うことが時々訪れる。伊藤先生が亡くなってからの3、4月はオソロシイほど、いろいろ感じて、はっきり言って自分を持てあましてます。で、5月からカメラの教室に通うことしました。

投稿: ひろごっち | 2006年4月21日 (金) 09時08分

 カメラ教室ですか…良いカメラは実家にいっぱいあるもんね。父が喜ぶ!
セレンディピティのもうひとつの能力は、
何かをやろうと思ってなかったり、意図してなかった時に、偶然他のものを発見したり、
遭遇したり、ヒントが得られたりすることも言うらしい。
また前に進むことだけを考えるのではなく、横に動くことを考えるのも良いらしいよ。
横に動くって感覚的にはいいなぁと思う。

投稿: M | 2006年4月23日 (日) 11時19分

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