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2009年8月 8日 (土)

写楽 幻の肉筆画 マノスコレクションより  

ブログを読んでくださっている皆さま
お元気ですか?長らくのご無沙汰でした!
やっと普通の忙しさに戻りました。

そこで行ってきたのが、江戸東京博物館で開かれている
写楽 幻の肉筆画 ギリシャに眠る日本美術 マノスコレクションより」です。

そもそも写楽はミステリアスな人物ですが、誰も見たことがない写楽が何とギリシャに
あったということですから、関係者の熱狂振りは想像に難くありません。

その写楽の肉筆画が下のチラシの絵ですが、
この絵が何と扇子に描かれているのです。

Syaraku_tirashi 

「四代目松本幸四郎の加古川本蔵と松本米三郎の小浪」
東洲斎写楽

それにしても世界中のあちこちから、
日本より保存状態が良好の浮世絵が出てくるものです。
今回のこの発見も学習院大学の小林 忠教授の僥倖の賜物とか・・・

ついこの間公開されたボストン美術館スポルディングコレクションといい、
ビゲローコレクションといい、
海外には良質の浮世絵作品が大量に保管されています。
今回もコレクション9500点のなかの選りすぐり120点(!)を見せてくれているそうです。

さて、毎回私も新しい発見があって楽しいのですが、
今日の収穫は何といっても「江戸の女性服飾の色」です。

私は江戸の「いき」という概念の研究をしていますが、一般的に江戸後期は
藍・茶・鼠を中心にした渋い色が流行したとされています。

でも本当の江戸風俗は、こんな地味な色ばかりではなく、
鮮やかなで自由な色彩に彩られていたのではないか、と私は思うのです。

その多くは、着物からこぼれる襦袢の紅によって表現できるかもしれません。

もちろん浮世絵のモデルは遊女が多いのでエロティシズムも連想させますが、
それでも歌麿を含む多くの浮世絵絵師の絵は何だかとても「エレガント」です

その理由を考えてみると、
今回の作品群はジャポニズムがヨーロッパで流行していた頃に
ギリシャ人が集めたもの、
その審美眼にエレガントというキーワードが投影されていたのではないか・・・
アメリカの所蔵作品とは違うセンスを感じさせるのは、
ヨーロッパ風「エレガンス」のスピリットかもしれません。

その江戸のエレガンスを色で表現すると、黒・白・赤・緑・紫、あたりの色かな、
チラシの左側の女形、小浪の配色も
「白、紅、黒、ピーコックグリーン」です。

今回のマリスコレクションは美人画の集大成、美しい色が
100年以上の時を越えて残っています。

それから、浮世絵研究家の間で注目されているのが、「紫」
これまで日本の浮世絵では紫はあまり見かけませんでしたが、
数々の海外の作品が美しい紫の存在を伝えています。
日本の浮世絵は保存の過程で退色したために、
茶色やねずみ色に見えていたのではないかと勝手に思っています。

紫はミステリアスな色・・・。写楽も好んで使ったことが分かっています。

もうひとつの目玉!
喜多川歌麿 「歌撰恋之部 深く忍恋」に注目です。

解説では「やや年増の女性を描いたもの」とありますが、年増・・・ねぇ、
江戸の年増ははたして何歳だったのだろう・・・
タイトルが絶品ですねlovely

嶋の紫、唇の小さな紅、白い肌、黒髪、この配色が絶妙です。

「江戸のエレガンス」を堪能したコレクションでした。

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